top of page

令和2年8月東榮寺各種活動参加者へ送付した言葉

執筆者の写真: toeijitoeiji


【黒白二鼠の譬】

 日本はじめ、世界中で新型コロナウィルスでお身内を亡くされた方々へ心よりご冥福を祈念いたします。また、罹患された方、そのご家族の皆さま、一日も早い回復を祈り、お見舞い申し上げます。

 ここに、半年以上前のものですが、私の今年の年賀状の図を載せます。坐禅会の皆さまには初釜の際に少しお話ししたものです。


昔、旅人が道を歩いていると、暴れるゾウに出会います。必死に逃げると木の根が垂れている、井戸があるのを見つけ、その木の根をつたって井戸の中に身を潜め、ゾウをやりすごします。

ほっとするのも束の間、黒と白の二匹のネズミが出てきて、つかまっている根元をかじっています。このままでは確実に根はちぎれて、井戸の底に落ちてしまいます。底を見ると龍と毒ヘビがいるのがわかります。男は恐怖に身を震わせ、必死に上に上がろうとします。木の根にはハチの巣がありました。その巣から甘い蜜が数滴、口のなかにおちてきました。そのなんとも言えない蜜の甘さに心奪われ、今度はもっとなめたいと思って、いまにも切れそうな木の根を揺すっています。黒と白の二匹のネズミによって、つかまっている木の根がちぎれてしまいそうなことは忘れてしまったようです・・・・・・・。  『仏説譬喩経』


 第2波とも云われる感染拡大が続いている中、4連休が終わりました。ますます混迷を深めているのが現状でしょう。あらためて年賀状に載せた図とその話を思い出しました。皆さまはどのように感じますでしょうか?


最新記事

すべて表示

令和4年3月東榮寺各種活動参加者へ送付した言葉

新型コロナウィルス感染症ですが、未だ落ち着く様子はありません。 二年前には、ここまで続くとは思っていなかった方が多いのではないでしょうか。 感染状況に応じて「緊急事態宣言」、「まん防」と、生活に様々な制限、影響がでました。その度に「いのちをとるか経済をとるか?」といった極論...

令和4年2月東榮寺各種活動参加者へ送付した言葉

今年は寅年です。お釈迦さまは生まれる前、さまざまな生き物として生まれ変わり、幾度となく善行を積んでいました。その様子を描いたジャータカという物語があります。その中のトラがでてくる話をご紹介致します。 昔、大きな森があり、そこにトラとライオンと山犬が住んでいました。山犬はトラ...

令和3年12月東榮寺各種活動参加者へ送付した言葉

新型コロナウィルス感染症の新規感染者数が急激に下がっています。第6波の懸念もあり、まだ私たちの生活は制約の中にあります。そんな中、久しぶりに都内の曹洞宗宗務庁で開催された僧侶向けの研修会に出席してきました。講師は駒澤大学名誉教授の田上太秀先生。...

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page